出汁の引き方 一番だしと二番だし

西洋料理と和食の出汁の違い

家庭で西洋料理の出汁であるフォンを取ることはほとんどないと思います。
鶏肉の出汁汁であるフォン・ヴォライユや子牛の出汁汁であるフォン・ド・ヴォーなどを取るためには1~2日程度の時間がかかり、材料代も信じられないのくらいの額になります。

一方、和食では出汁を取るにはそれほど時間も手間もかかりません。
一般的な鰹節と昆布を使った出汁と取るために必要な時間は20分程度です。
昆布を水出しする場合は前日に水に入れておくだけなので時間はかかりますが格段に楽です。

ところが和食の出汁を引くのが面倒という風潮が随分前からあったりします。出汁の素の方が簡単なことは否定しませんし、好みの問題なので成分的に似通っている出汁の素が好きならそれで良いと思いますが。

とはいえ、西洋料理の出汁に比べて簡単に作ることができることもあり、我が家では基本的に和食の出汁は昆布と鰹節から取るようにしています。

出汁の引き方というのは、プロの料理人でもいろいろやり方が違っているようで、これが正解という方法はないようです。
基本となる水や気温や昆布の状態もそれぞれ違う訳で、同じ料理人でもその時々に合わせて調整しているといわれています。

良い材料で美味しい出汁を引く

和食の出汁を上手に取るコツは良い材料を使うことに尽きます。
西洋料理の出汁との違いは、日本料理の出汁の材料である昆布や鰹節などの出汁の材料はそれらの材料を作る段階で手間暇が掛けられていて品質の差も大きく出汁を引く前にかなりの部分が決まっていると言えます。

品質の劣った材料を使うと結果的に出汁の質は悪くなりますし、良い材料を使えば、余程変なことをしなければそこそこ美味しい出汁を引くことができます。
プロの中でもある程度以上のレベルになると勿論違った話になるのですが、一般家庭のレベルで言えば、材料選びをしっかりとすることが良い出汁を引くための第一条件であるように思います。

出汁の材料である昆布や鰹節については、
昆布の選び方と出汁のひきかた
鰹節の種類と出汁のひきかた
に記載していますので材料選びについてはこちらをご覧いただければと思います。

一番出汁の引き方

一番出汁は香りのよい澄んだ出汁のことでお吸い物などに使用します。

<手順>
  1. 水に昆布を付けておく(夏場は1、2時間、冬場は3、4時間)
  2. 弱火にかける
  3. 沸騰しかけたら昆布を取り出す
  4. 少し水を足す
  5. かつお節を加える
  6. 沸騰したら火を止める
  7. 鰹節が沈んだ後にこして完成
※お店によっては昆布を60℃のお湯に1時間程度入れておく方法をとっているところもあるようですね。

二番出汁の引き方

二番出汁は旨味とコクのある出汁。色は一番出汁よりも濃く煮物などに使用します。

<手順>
  1. 一番出汁をとった後の昆布と鰹節を水を張った鍋に入れる。
  2. 弱火にかけ、必要に応じて鰹節、昆布の順で足す。
  3. 5分~10分程水面がゆらゆらするくらいの加減で煮る。
  4. 火を止める。
  5. しばらく待ってからこす。
※二番出汁では鰹節や昆布を追加で足すとするレシピと一番出汁を取った残りの昆布、鰹節だけを使うレシピがあります。このあたりは自分で作ってみて好みの味を見つければ良いところだと思います。

材料の分量

昆布と鰹節の量ですがこれもレシピにより様々です。
私は水1リットルに対して昆布10g鰹節15gくらいで作っていますが、レシピによってはこの1.5倍くらい使ったものやもっと少ないものなどいろいろです。
いろいろやってみて好みのポイントを見つけてください。

あと家庭だと一番出汁、二番出汁と分けずに作る場合も多いと思いますが、用途に応じて、昆布や鰹節の煮方を調整してやれば良いと思います。
香りのサラッと澄んだ出汁にしたい場合は一番出汁の作り方で良いのですが、コク、旨味を出したい場合は、煮る時間を長くしてやるなど適当に調整してやれば良いと思います。

真昆布

真昆布ですがここ数年ずっと不漁で深刻な状況がなってきているようです。お店によっては取り扱いを中止しているところもあったりします。
この天然真昆布は百貨店の物産展で購入しました。長谷川商店というお店のもので一等検。数年前は白口浜と記載がありましたが昨年からは無くなっています。
値段が上がる一方で品質は低下しているように思えます。
不漁の理由はよくわかりませんが早く回復してほしいものです。

真昆布 一等検 長谷川商店
長谷川商店の天然真昆布 一等検