価格もカシミヤのニットと同じくらい。黒のカーディガンを購入しましたが高いなぁという印象でした。定価で5万円以上だったと思います。
繊維の直径が13.5μmと書いてもピンとこないかもしれませんね。どのくらい細いかですがあまり良い説明ではないかもしれませんが、男性のスーツだとよくSUPER〇〇’sという表現が使われています。13.5μmだとSUPER200’sに相当します。このクラスになるとスーツの生地代だけで10万円を超えることも多いです。また、Loro Pianaのベビーカシミヤが大体このくらいの直径といわれています。Loro Pianaの普通のカシミヤ(Loro Pianaは普通のカシミヤでも高価で品質もかなり高いです。)だと14.5μmくらいものが使われていますので、このニットに使われている繊維の直径は高級スーツの生地に使われているウールやカシミヤ並みといえます。
ただ、ウールはやっぱりウール。繊維の直径がカシミヤ並みとはいえ風合いはウールそのものでカシミヤとは違います。JOHN SMEDLEYの通常のメリノウール(ニュージーランドの南島のメリノウールで繊維径が18-19μmのもの)のニットと比べるとずっと滑らかで柔らかいのですが。それ以降、販売されているのをみかけたことはないので、あまり売れなかったのかもしれないですね。
ウールという素材は品種改良などによって近年ではとても細い糸が作られるようになりました。ただ、本当にそれでいいのかといえばそういうことでもないらしく、原毛が細いと滑らかで柔らかい生地を作ることができますが、一方で生地としての力が失われてしまうこともあるようです。
なので、適材適所で目的に合わせて使うべきということになります。
そんなウールについて今日はまとめてみたいと思います。
ウールのニットの特徴
良い点- べたつかない
- 汚れにくい
- 温かい
- 伸縮性・弾力性がある
- 型崩れしにくい
- 発色がいい
- ものによってはチクチクする。
- フェルト化する。
- 毛玉ができる。
- 虫に食われやすい。
羊の品種
最近のウールのニット、大部分がメリノ種ではないでしょうか。メリノ種の羊は主にオーストラリアで飼育されていますが、元々はスペインで飼育されていました。今日では、オーストラリアのほか、ニュージーランド、南アフリカ、フランスなどで飼育されているようです。
他の種だとイギリスのCheviotやShetlandなんかも割と有名です。ただ、直径は30μm強とメリノ種と比べるとかなり太い繊維になります。
話が外れますがアンゴラヤギの毛であるモヘヤ(Mohair)はKidが20~29μm、Youngは27μm~34μm、Adultsだと30μm~40μmくらいです。
ウールの保温性
ウールが暖かい理由は、空気の含有量の高さと吸湿発熱性にあります羊毛は縮れています。この縮れのことをクリンプといいます。
繊維1本1本が縮れているために複雑にからみあうことから、空気をたくさん含みます。断熱効果が高い空気をたくさん含んでいるので保温力があります。
ウールの吸湿性
更に、ウールは天然繊維の中では高い吸湿性を持ちます。吸湿発熱性とは、繊維が汗などの水分を吸収することで発熱する機能性のことで、空気中の湿気を繊維表面に吸着することで発熱し、温度が一時的に上昇します(水分が繊維表面の水酸基などに吸着されて、運動エネルギーが熱エネルギーに変換される)。
高い吸湿性を持つウールは吸湿発熱性に優れています。
ちなみに、ヒートテックなどもこの吸湿発熱性に着目して作られた化学繊維で吸湿発熱繊維と呼ばれています。
ウールの弾力性
ウールは弾力性にも優れています。1本の繊維を30%以上伸ばすことができますし、引っ張るのをやめるともとに戻る性質があります。この復元力の高さが型崩れのしにくさにつながっています。
水をはじくウール
ウールの外側はキューティクル(スケール)に覆われています。このキューティクルと皮質部(cortex)、髄(mululla)の3つで構成されています。キューティクル(スケール)は水をはじく一方で湿気を通す性質を持ちます。
また、スケールが湿気により開閉して湿気の吸収・放出を繰り返しています。
そのような性質からウールは天然のエアコンと言われています。
カシミヤの選び方について、「カシミヤの選び方 John Laingの手袋とジョンストンズのマフラー」でまとめています。こちらもご覧ください。
参考
- All You Need To Know About Merino Wool(英語)(JOHN SMEDLEY)