馬毛の自作枕
馬の毛を充填した枕を作りました。所謂自作枕というものです。寝具専門店や百貨店の寝具コーナーにはたくさんの枕が並んでいます。よくある素材といえばパイプやビーズ、化繊の綿、蕎麦殻など。それ以外だとウール、ラテックス、ウレタンなど。
馬毛の枕ですが日本の寝具店では滅多に販売されていないようです。ネットは別として実店舗で販売されているのを見たことがありません。
充填材としての馬毛ですが昔はよく使われていたのですが最近はあまり使われなくなりました。なので馴染のない人がほとんどかと思います。かつては椅子のマットレスの詰め物に使われていた素材で、現代でもアンティークの椅子やHans J. Wegnerのベアチェアなんかに使われています。
湿度調整機能、弾力性、耐久性に富んだ馬毛の充填材
馬毛の特徴ですが、他の獣毛と同様に優れた湿度調節機能を持っています。そのため、寝汗に悩む人とっては適した素材と言えます。加えて、枕に適した弾力性を持ち、耐久性にとても優れています。10~20年くらいは使用できる耐久性を有していますし、適切にメンテナンスすることでより長期間に渡って使用することも可能です。
馬の尾の毛は弾力性に富んでいるため、数百年前から寝具や椅子などの充填材として使われていますが、そのままの状態では詰め物として使うことはできません。
そのため、尾の毛を縄状に捩りカールさせることによってクッション性を加えます。
自作する場合ですが40cm×60cmの枕だと600g~700gくらいの馬毛を使用します。
馬毛の自作枕を作ったのはたまたまです。元々は粒状になってるウールで枕を作る予定でしたが、旦那がクッションを作ると言って購入した馬毛の充填材がかなり余ってしまったので、それで私たち夫婦の枕を作ることになりました。
細かいところを言えば、使っているとき馬毛の音が少しするけれど、吸湿性も高く弾力性も適度にあっていい感じです。
最近の枕事情
自作枕を作ったのですが、初めは既製品を購入しようといろいろなお店に行きましたが、百貨店の枕の売り場の面積が結構広かったことには驚きました。高さ別にずらっと枕が並んでいて圧巻でしたが、どうやって試すんだろうなんて考えながら見てると、値段も結構してて素材がウレタン系のもので1万5千円くらいと結構高額。うーん、ウレタンってそんなに原価高いんだろうかと思いました。
そこでは、オーダーメードで枕を作れるらしく素材もいろいろ選べるみたいでした。
素材ですが、
- 蕎麦殻
- つぶわた(綿とかウールかな)
- 羊毛
- 羽毛
- パイプ(ストローを切ったようなやつ)
- 木材
百貨店で枕を見ているとその値段にも少し驚きました。素材の割に高い気がするのです。
費用対効果を考えるとなかなか高額な枕には手を出し難い。
そんな場合は自作枕を作ってみると良いかもしれません。
高さ硬さの調整も素材によっては思ってたよりも簡単です。
私の場合は、バスタオルで自作枕を作るみたいなサイトがあったのでそういったものを見ながら自作しました。
枕の歴史と役割
枕を自作する場合、枕の成り立ちやその役割を理解していると成功する可能性がより高まりますので簡単にですが紹介しておきます。まず枕の役割ですが、枕は就寝時、頭部を載せ支持する道具であり、首の形を整えて頭を支えるためのものといわれています。
人の脊柱は前から眺めると真っすぐですが、横から眺めると緩やかなS字状のカーブを描いています。
この構造は人が直立二足歩行に必要なバランスをとるためでのもので頸椎が前彎、胸椎が後彎、腰椎が前彎しています。
前彎した頸椎の隙間を身近にある適当な高さのもので補うようになったのが枕の起源と言われており、その歴史も古くツタンカーメンの墓に埋葬されていた枕が発見されていたりもします。古代では丸太や石、草の茎などを縛ったものなどが使われていたそうです。
誰にでも合う枕というのがないのは、頭の形状、頚部の前弯、それに筋肉の付き方に個人差があったり、使っている敷寝具が違っていたりするためです。
枕の素材選び
次に枕の素材についてです。多様な素材がありますが、私の好みは、吸湿性や放湿性に優れた素材で、羽毛だとソフト過ぎるのでもう少し弾力のある素材になります。勿論人それぞれなのでどの素材が良いかよく検討してみることが大切です。どの素材でも一応自作枕は作ることができますが、羽毛は手間がかかるかもしれませんね。
- 羽毛・・・ふわふわ。柔らかい。値段は羽毛のランクに主に依存します。
- ウール・・・粒状になっていてふわふわ。羽毛より弾力あり、吸湿性、放湿性に優れています。
- パイプ・・・枕の素材で定番。ポリエチレンなので吸湿性なし。素材的には安い(はず)。
- 蕎麦殻・・・定番。昔からある素材。時々交換が必要。硬め。音が鳴る。
- 馬毛・・・高級な椅子の詰め物として使われている。弾力も調整でき吸湿性が高い。音が鳴る。高価。あまり売られていません。
- ウレタン・・・昔買ったけど粗悪品なのか冬になると硬くなったりして使い物にならなくなりました。蒸れます。
- ラテックス・・・使ったことないのでわかりません。枕の素材としてチップ上にしたものを売っているのを見たことがあります。
枕のケースについて
60cm×40cmの市販のケースを買えば良いです。大きめが良い人は75cm×50cmサイズもあります。
枕のケースのサイズですが市販されているピロケースに合わせることで市販のピロケースが使用できます。
素材は綿にしました。
布から買って縫ってもいいけど、そのあたりは費用対効果とか手間の問題ですね。
枕をいれるピロケースの選び方は「アレクサンドルチュルポー(Alexandre Turpault)のピロケース ベッドリネンの選び方」に書いていますので併せてご覧ください。
自作枕を作った時の話
枕は敷寝具に合わせる必要があります。これは使っている寝具がそれぞれ異なっているからで、例えばマットレスでも硬めの場合と柔らかめで体の沈み込み方も違ってきます。なので枕の最適な高さも違ってくるということになります。お店と全然違った硬さの敷寝具で計測して枕を作ったとしても、自宅の寝具と違ってたら意味がないってことで、私の場合は自分で作ってみることにしました。
それに、自分で作ると材料代だけなので節約にもなりますし。
自作枕を作るにあたって検討した詰め物
詰め物は自分で調整ができる素材かつ追加で入手できるものが良いです。- 羽毛を詰め物として入手することは困難。いらない羽毛布団を使って作れるんじゃないかと考えたことがあるけど流石に難易度が高そうなので却下。羽毛の枕を使った感想ですが、寝た瞬間はふわっとしててとても心地いいです。ただ、あまりにもソフトというか沈み込む感じがして、そんなに寝返りも打ちやすい感じではないし、もう少し弾力もあったほうがいいかなって思いました。
- 羊毛や馬の毛は、素材としての性質は好みなんだけど入手がやや困難なところが欠点ですね。高さも調整できるし、たくさん詰めると硬めに、減らすと柔らかめに調整できるとことも良いです。
- 蕎麦殻は入手が容易。簡単に自分で調整できます。
- パイプは入手が容易。簡単に自分で調整できます。
自作枕を作るときのポイント
人は自然と自分で楽な姿勢になろうとします。適当な状態を見つけて試してみます。そのときに首の形を整えて頭を支えることができているかどうかがポイント。
どのくらいの角度が良いかみたいなことは、「タオル枕」など自作枕の作り方を検索すれば画像がでてきますのでそれを出発点にします。
変な圧迫感がある場合には調整しましょう。最適な高さ、硬さになると気持ちが良いと思えます。
その後、必要に応じて高さ硬さを何度か微調整すればOKです。
角度なんかはその都度家族に見てもらうと良いです。
余程おかしなことをしなければ自然と自分にあったものが作れるんじゃないかと思うので私は自作枕はお勧めの方法だと思っています。
必要以上に気にしても仕方ないし逆にストレスに。枕にこだわるより心と体のコンディションを整えたほうがずっと良く眠れる気がしています。
必要な材料代ですが、下記の記事にもあるとおり、1度調整したのですがその際につかった調整分の馬毛の分も含めて1個あたり約1万円でした。約1万円というのは枕ケースと馬毛の価格でピロケースは含みません。
馬毛の自作枕の高さの調整については、
自作枕の作り方 自作枕の素材選びと高さ調整などのメンテナンス方法
に書いています。
馬毛枕 サイズ75cm×50cm リネンのピロケース、綿の枕ケース、馬毛 |
参考
- 羽毛布団の選び方 ポーランド産グースの羽毛布団を購入したときの話
- 布団派 ベット派 選び方のポイント
- イワタの敷きパッドを使ってみた感想~敷きパッドの選び方~
- bodydoctorのマットレスを購入したときの話
- Alexandre Turpaultのピロケース ベッドリネンの選び方
- 毛布の選び方 カシミヤ毛布の特徴と使用感 お勧め毛布素材
- ベッドの選び方 木製ベッドを選ぶときに大切な木材についての知識 ~無垢板、突板、プリント合板の違い~
- 寝具のメンテナンスと使っている寝具の紹介
- 夏にだけ使う寝具(麻の汗取りパッド)
- 合い掛けの羽毛布団が活躍する季節
- 自作枕の高さ調整 馬毛枕の場合
- 寝具での寝汗対策
はじめまして。馬毛の充填材はどちらで入手できますでしょうか?
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